AYAKO

マンモグラフィーと鉛のエプロン

検査を受ける病院へは何度か通うことになるだろうと思って、できるだけ家から近くて大きな病院を選びました。

自宅から大通りに出て、バスに乗ってしまえば、ほんの10分ぐらい。万が一、入院することになっても気楽な距離でした。

転院するのは意外と面倒なので、この段階では、治療を想定してもっと病院を吟味するものだと後で知りましたが、わたしの場合は手術しないことに決めたので、これで良かったのかもしれません。実際、検査や手続きで何度も行き来することになったので、検査だけと考えれば、交通の便優先で決めたのは正解だったと思います。

わたしにとって、お見舞い以外で大きな病院に行くのは初めてのことでした。もともと、病院へはめったに行かないほうですが、たまに行くとしても、町のクリニックや診療所で用が足りていました。

病院に入るなり、「ここは、まるで宇宙ステーションみたいなところだな」と驚きました。『STAR WARS』で、様々な星の人たちが往来する星に行くと、いろんな姿の人が行き来していますが、ちょうどそんな感覚を覚えました。

紹介状やこれまでのデータは、受付で渡してありました。ようやくわたしの順番が来て、これからお世話になる医師はどんな人だろうと思いながら診察室に入ると、硬い表情をした、すこし年配の先生が居ました。

経緯を話すと、触診をした後、「マンモグラフィーを撮って来てください」と言われました。その後、超音波で診て、さらに細胞診(細胞の検査)をするということでした。

マンモグラフィーは妊娠中には撮らないほうが良いと言うので、前の病院でも断っていました。

「もしかしたら、妊娠しているかもしれないのですが」と伝えると、医師は、あっさり「どのみち、この状態で妊娠の継続は無理でしょう」と言いました。

予想もしない言葉に、突然頭を強打されたようなショックを受けました。なんとか平静を保とうとしていると、否応なく「じゃあ、鉛のエプロンを着けて撮ってもらってください」と診察室を追われ、不安な気持ちのまま、マンモグラフィーの検査室へ移動しました。

事情を説明すると、担当者は一瞬、「え?」という顔をしました。その顔を見て、「このエプロンは気休めなのかも」と思いましたが、もうすでに、ベルトコンベアーに乗せられて降りられないところまで来てしまったような気がして、諦めました。

「どうか、わたしのお腹を守ってください」

鉛のエプロンをぎゅっと抱えたまま、お腹が白い光で包まれているところをイメージしました。祈ることしか出来ませんでした。

マンモグラフィーは、年に一度の健康診断で何度か経験していて、痛くて大嫌いだったのですが、この日は痛みを感じる間もなく検査が終わりました。

そしてこの後の、「ちょっと針を刺して細胞を取るだけ」と説明されていた細胞診は、想像していたよりもずっと恐ろしいものでした。

検査のハイライト。しこりの細胞を調べる

エネルギーの手術を受ける