転院も、恐れからの選択だった

乳癌と診断されてからちょうど一週間後、再び病院へ行きました。

もう転院することは決めていて、その日は手続きだけを済ませるつもりだったので、気が楽でした。

「別の病院で治療を受けたいので、紹介状を書いてほしいんです」

医師にそう伝えると、転院先を尋ねられ、10日から2週間ぐらいかかるという答えが返って来ました。

えっ?…2週間?

わたしは、その日に紹介状を貰えるものだと思っていて、その足で新しい病院へ行くつもりでいたので、びっくりしました。

癌の進行がとても早いから、一日も早く手術をしたいと言って、検査を1週間延ばしてもらうのも渋々だったのに。

さらに、保険手続きのために診断書が欲しいと伝えると、「新しい病院で書いてもらったらどうですか?」と言われました。医師が意地悪をしているように思えてなりませんでした。早く手続きを進めたいので、すぐに欲しいのだと食い下がったところ、なんとか了承してくれましたが、釈然としませんでした。

結局、病院もビジネスなのだなぁと思いました。フロントに立つ医師は、やり手の営業マンみたいなものでしょうか。病院が儲かる手術や抗がん剤をやらないわたしのような患者は、好ましい顧客ではないのでしょう。

落胆するやら、呆れるやらでしたが、どこかでホッとしているわたしもいました。

これで、2週間は病院に行かなくてもいい。

そう思うと嬉しくて、心が伸び伸びしました。

本当はわたしは、病院に行くことや、検査を重ねることが、ものすごく嫌なのだと気付きました。

それなのに、万が一の手術を想定して転院を決めたのは、恐れがあったからです。この時点ではまだ、自分のやり方で絶対に治せるという自信がありませんでした。

自分で治すと決めてはいたものの、まだ確固とした治療方針もなく、もしも失敗したら?という不安もあったし、少なくとも経過の観察はしてもらう必要があるだろうと考えていました。

この時のわたしにとって、癌は、まだ「得体の知れない恐ろしい病気」だったのです。

病院へ行く予定も延びたことだし、たまたま見つけた気功治療のクリニックへ電話をしてみると、すんなりと予約が取れて、早速次の日に行くことになりました。

ヨシさんから「気功」という言葉を、何度か聞いていたせいかもしれませんが、そこへ行くことを考えると、とてもワクワクしました。治療なのにワクワクするなんておかしいようだけど、楽しみで仕方がなかったのです。

心は正直でした。そして、心が感じることは何より信頼できるのだと、後からわかりました。

この時のワクワクは、実際、間違いのないものだったからです。

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