自然の恵みとお菓子づくりの話

自然の恵みとお菓子づくりの話

ちょうどひと月ほど前、4月の中旬頃に伯父の住む徳島へ行ってきました。

母から、伯父は山羊のいる農園でお菓子をつくったり、お菓子づくりを教えたりしていると聞いていました。

「良いところだから行ってくれば?」と、ずいぶん前から母に何度も言われていたのです。

白砂糖と乳製品を摂らなくなってから、外でお菓子を買うことはとても難しくなって、わたしは家でお菓子を作るようになっていました。

それもあって、伯父にお菓子づくりを習いに行こうということになり、ようやく初めて徳島を訪ねることになりました。

伯父に会うのも久しぶりで、「いつもお年玉をたくさんくれる優しいおいちゃん」というイメージだったのが、実はお菓子のエキスパートだったと知って、話を聞くのが楽しく、まるで知恵の宝庫のように何でも答えてくれるので、夢中であれこれ聞きながら、「身内にこんな人がいたとは!」と、もっと早く遊びに来ていればよかったと思いました。

教えてくれる内容すべてが面白くて、わたしにとっては、「実は伯父はジェダイのマスターだった」というレベルの大発見でした。

山羊たちはちょうど出産シーズンで、すでに可愛い子山羊が数匹生まれていました。初産の若い山羊は、今日にも赤ちゃんが生まれそうな大きなお腹をしていて、ひょっとして出産が見れるかも?と期待しましたが、結局滞在中には生まれませんでした。初産の場合、だいたい予定日よりも遅れるのだそうです。

山羊を飼っているのは、お菓子に使うミルクのためです。

なぜ山羊かというと、羊乳は、牛乳にアレルギーがある人が飲んでも大丈夫なのだそうです。

ミルクの風味は食べ物によって変わるそうで、山羊たちは北海道から特別に取り寄せた干し草を食べていました。

しばらく乳製品は採っていなかったのですが、この山羊のミルクなら良さそうな気もして、滞在中は羊乳をいただきました。

エサにもこだわった山羊のミルクは、コクがあるのにさっぱりしていて、わたしにはこれまで飲んだことのあるどの牛乳よりも美味しく感じました。

山羊の乳搾りも体験しました。想像以上に難しくて大変で、乳搾りの大変さを知った後では、ほんの少しのミルクも残すことは出来ないと思うほどです。

卵のために飼っている雌鶏たちは残飯を食べていました。彼らは雑食で、何でも食べてくれるのだそうです。それなのに毎日卵を産んでくれるなんて、残飯を卵に変換する錬金術みたいだなと感心しました。

こうした自然の恵みを使ってお菓子を作るのです。山羊とも鶏とも、共生の関係がありました。

伯父が教えてくれたのは、レシピ通りにお菓子を作る方法ではなくて、そもそもお菓子ができる仕組み、材料の配分の決め方、欲しい食感を出す方法など、お菓子づくりの基本となる考え方でした。

おかげで、本に載っているレシピを失敗なくアレンジできるようになりました。食事制限をしていると、自分で材料を自在に変えられるのはとっても有り難いことなのです。

何より、お菓子づくりが気軽にできるようになって、最近では、朝起きてマフィンが食べたいなと思ったら、さっと焼いてしまうほどです。

わたしが市販のお菓子を買わない理由は、白砂糖と乳製品を避けるためだけではなくて、スーパーやコンビニで買えるお菓子のほとんどには化学調味料、保存料などの食品添加物が使われているからです。

伯父にお菓子の保存について聞いたところ、しっかり焼かれたクッキーなどの焼き菓子は、太陽の光が当たらないようにして缶などに仕舞っておけば、かなり長い間もつのだそうです。

うっかりと缶に仕舞ったままのクッキーを半年ほど放置してしまって、でも開けてみたらまだ美味しかったという話を聞かせてくれたのですが、太陽の光が食品を劣化させる理由のひとつだとは、知っているようで知りませんでした。

お菓子は、丁寧に手をかけて保存をすれば、保存料などの薬品を使わなくても、それなりに日持ちがするそうです。

市販のお菓子で薬品を使うのは、より手を抜いて、より利益を出すためです。

お菓子に使う材料のすべてを無農薬で育て、ミルクや卵だけでなく、蜂蜜までも自家製、餅がくっつかないように木の台に塗るのは蜜蠟(蜂蜜の副産物ですが買うと高価です)、そんな風に薬品を使わずに、丁寧なお菓子づくりをしている伯父を見て「なんと豊かな暮らしなんだろう」と感動したわたしは「本当の豊かさとは何か」と考え始めました。

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