改めて、乳癌患者のためのブラジャーの話

一昨年の暮れに乳癌が見つかって、リンパの流れを妨げるワイヤー入りのブラは良くないと聞いてから、ブラジャーを止めて、ブラトップを着けるようになりました。

ただ、しこりの部分が隆起して目立つようになってからは、満足のいくものがなくて、本当に困っていました。

胸元がしっかりカバーされるスポーツブラ系のブラトップだと、胸が押しつぶされる形になって、外出してしばらく時間が経つと苦しくなってしまい、長時間の外出は出来ません。

オーガニックコットン製で、授乳ブラとしても使えるBlue CanoeのJane’s Braは一番快適な着け心地で、中でもストレッチの生地が伸びてしまった古いものは(見た目は悪いけれど)最高に楽なのですが、なにかの拍子にしこりの隆起がはみ出していることがあって、それにも困っていました。

胸元が目立たない洋服を選んだり、スカーフでごまかしたりしながら、どうにかできないかな、もしくは快適な下着を自分で作れないだろうかと考えたりしていました。

わたしは元々、細身で胸ばかりが大きい体型だったので、合うブラが無くて困ることが多かったのですが、乳癌が見つかってからは、ブラの悩みはさらに深刻でした。

先日、ひょんなことから、吉祥寺でランジェリーショップを営む友人のお店を訪ねることになりました。よい機会なので、ついでに相談してみようと話してみると、せっかくだからとフィッティングをしてくれることになりました。

選んでくれたのは、ワイヤーの入った大きな赤いブラ。ヨーロッパのブラらしい、薄手で胸をすっぽり覆うタイプのものでした。以前は嫌いだったフルカップのブラですが、その中に隆起したしこりまでがすっぽり収まると、思いがけずホッとした気持ちになりました。

友人は「おっぱいのお肉が太ももまで逃げてる」と言って、体中のあちこちからお肉を集めてブラジャーの中に入れはじめました。不思議なことに、お腹のお肉などは率先してブラジャーの中に収まっていくようで、あっという間に、丸くなっていた背中まですっきりしてしまいました。

なんとなく、しこりの突起も目立たないような気がしました。

以前よりも太って、健康な方の胸は小さくなって、すっかり体型が変わってしまったと感じていたのですが、赤いブラジャーを着けて鏡に映った自分は、以前の自分みたいで、身体がなにかを思い出したような感じがしました。

ブラジャーを着けるのを止めていた約一年半の間に、おっぱいの肉が全身に散ってしまったのかもしれないなぁと、そんなことを思いました。

しこりのある左胸に合わせてカップを選んでくれたので、右胸はぶかぶかでしたが、左胸はなんとも言えない安心感に包まれて、満足しているように感じました。そして赤い色とランジェリーらしい可愛いデザインは、女性らしい気分にしてくれました。

さて、悪いと言われていたワイヤーですが、友人によると、寄せて上げるワイヤーは良くないけれど、しっかりと支えるためのワイヤーは必要だと言います。そして、それでもどうしてもワイヤーが嫌なら、ワイヤーブラのワイヤーを抜いて使うほうが、ノンワイヤーブラよりも良いのだそう。

友人が言うには、おっぱいの上に皮膚のようにかぽっと嵌るのが良いブラだそうで、手でそっと持ち上げるように支えてくれるのがワイヤーの本来の役目なのだとか。それこそ、ずっと思っていた理想のブラでした。わたしはいつも「ブラジャーが手みたいだったらいいのに」と言っていたのです。

そして、ブラに入っているおっぱいの気持ちになってみたら、押し潰されたり、あらぬ方向を向かされていたら苦しいでしょう?と言われて、思えばおっぱいの気持ちなんて考えたことがなかったなと思いました。

おっぱいを本来在りたかったように快適にしてあげることで、自己治癒力も上がるはず。そう言われると、本当にそうかもしれないと思えました。

またワイヤーのブラを着けることになるとは思ってもいなかったけれど、フィッティングしてもらったものは、これまで着けたことのあるブラと違ってかなり低い位置にワイヤーがあって、肋骨の上に留まっているような感じです。しっかり留まっているのに、不思議と肩までが解放されるような感じがして、すっかり気に入りました。

ブラトップで潰してしまうよりもずっと、治りが早くなるような気もして、最初に選んでもらった赤いブラを買って帰ってきました。

さて、どう影響するでしょうか、とても楽しみです。

そして、赤いブラを着けると気持ちがウキウキと上がります。ずっと諦めていたものが帰って来たようで、なんだか、うれしいです。

選んでもらったのはPrimaDonnaのMADISONシリーズのブラジャーです。

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